2014-01-01から1年間の記事一覧
流れ続ける景色に 焦点を合わせることができない 視線を浮遊させてみる 薄い色の蛍光色がちらと 目の前を横切る 世界の切れ端の色 分断されたあの子の残像も こんな色だったのかしら そんな言葉は 言い切らぬうちに 川のうちに消えてしまった たくさんのうね…
僕たちの不安の行方は どこまで探しにいったら 取り戻せますか あまりにも陳腐な叫びを 黙殺しながら歩いた 無意味に繰り返す信号機の点滅も 誰もみてないイルミネイションも 引いたばかりの白線も 何ひとつ教えてくれません 今夜も星がまたたいて 地上では…
誰かを遠ざけて何に安心しているのかわからないけどこれで良かったと惰性で思うことにしてる一応まだ死んでしまってはきっとだめだって信じているから私が掴み取れないものを誰かが掴み取ってくれるわけではないし私の好きなものは私以外は殺せない当たり前…
個が分裂した 成熟が 巨大な切なさを齎して 身体を蝕んでいるのだ 気づかなくて良かったのに 私にはとっくに身体がない やりきれずに 身体を売った 切なさへの 強大な欲望の上で 静かに遂行されて まるで悲しみがなかった すこしだけ 古着屋さんの クローゼ…
欠乏が押し寄せて 月が綺麗な夜は いっそう寂しさが満ちる かつて書いた詩は眠り 夢に溺れた詩のお陰で 私たちは透明の及びを また信じることになる 不透明な身体が 熱さと重さを齎すのに 飽き飽きとしてしまって 透明の裁きを求めて 彷徨う夜を信頼した 目…
人々の喧騒が、あった 感傷なんて 死んでしまえばよかった 三角形の慰めを知った 鳥は無言で 延々 という言葉が響いた 線をひいた 入らないように 超えないように 線をひき続けた 外側が止まっているのか 内側が止まっているのか よくわからなかった 全てが…
月はもう落ちかけていた 必死さみたいなものは 粒になって ポケットから零れてしまうし それでもなんとなく 昨日と今日は連続している そんなの妄想かもしれないから たまに確かめるけど 連続をつくって 安心する類いの人間の私は やっぱり連続している だか…
優しく 優しく 優しく 街に雨が降り注いでいる 午前三時の街灯は明るい 冬のはじめの 爽やかな夜雨 重い灰色の空気が 闇を鮮明にさせて 色彩に暗みを押し込めている 感情の間違い そんなことないよとは 誰もつぶやいてはくれない 正しさなんて 正しさなんて …
どうしてこんなにつまらない世界に 生まれてしまったのだろうと 時代のせいにするなんて最低で どこに触れたらいいのか 一文字も読んでいない本が 部屋のなかに埋もれて 一日の番組が終わったあとの テレビのノイズがとても恋しい 散漫とした心が待ちわびる …
ガラガラの車内には独特の倦怠感とある種の安堵と微かなお酒の匂いが満ちていて、--アトリエから帰る最終電車が実は結構好きだったりする。見下ろす住宅街の光は星のようで、ぼーっと見ていると宇宙を走っている気分になれる。視界の端の方ではコンパ帰り…
たくさんの嘘で、固められていく 嘘を丁寧に積み重ねることが うまく生きるコツだということ受け入れて澱みを嫌わずに済んでいる 秘め事の甘さ 突き刺す痛みと快楽に いっそひらひら 踊らされてみて ひそひそと 今日はあの子が死んだみたい これは嘘の中の本…
見えているものを見ることが どんなに困難であったのか 彷徨う 明日の霧の中 深く 深く 沈み 眼をあけて 見る 透明の 透明の闇が 迫る 空をきって 迫る 見えない闇 レンズの鮮度の 向こう側 僕らの時代は ここに
僕たちの詩 どこかに翔んで 言葉は 翔んで、翔んで 夏の死のあたりで 蝉の羽根の脈 のような 静けさと哀しみ で満たされて すっかり綺麗に 死んでしまって
夏が終わろうとしている。ヒグラシの声も聞かないまま。熱い日差しも思い出せないまま。どういうことか今年の夏はどこへ行っても倦怠感と閉塞感がたちこめていた。それが私の気分の問題だったのか気候の問題だったのかはっきりとはわからない。もしかすると…
人が死んだら星になるとして じゃあ星は 星は死んだらどこにいくんだろう 耳の奥の遠くの方で 泡がぱちんとひとつずつ 微かに消えてしまうような日々であったとして じゃあ私たちは 私たちは何かを掴みかけるような それこそ死んでしまった星たちを拾いげる…
なにもないということが ただここにあって どこでもないということが ただここにあって ここで唯一できるのは 砂浜に散らばる貝殻のような 夜空に拡がる星屑のような 無数の仕方なさの断片を ただ拾い上げてゆくことだ 拾い上げるわたしもあなたも 断片にす…
行きつ戻りつ 行き先のないバスに揺られ おそらく 戻ってさえもいないのだ 不安の衝動は 漫然として コンクリート砂漠とはよく言ったもので この狭く掴めない空間は どうすれば、 いや、でも 明日にはたぶん 星をつかめるよ、今日よりは、きっと ひとつでも…
閉ざされた白昼夢と 鳴り響く 虚無のファンファーレ 渇いた青い光点 白い矢印の向かう先へ 無感情は三角形を彷徨う 物語をなくした子供たち ネズミの雨を待ちわびて ネズミの雨に染まるのは 物語に縋る大人たち
しとしとと雨が降り続いてるせいだろうか。湿気に絡めとられてうまく言葉が出てこない。わけのわからないというのは望むところだが底なし沼のようなわけのわからなさは勘弁してほしい。先週気が向いて母校の礼拝に行ってみたけれど退屈に延びきった空間は相…
同じことを繰り返していた 言葉は 堂々巡りで 無限の抵抗 夢幻の思想 ぶれる音をきき ゆれる甘さへ 夢見の歴史の清算と 殺戮の会話の凄惨が 闇を奏でて 余情をつくる 断片 言葉を失って 精彩の未来 」倒錯「 。 のゆくえ
そういえば少し前、友人の誘いを受けZINE展に参加しました。 その際にここのブログで書いていた文章と、ペンを使ったドローイングを載せた簡単な冊子を作りました。 冊子といえども大衆に向けようみたいな意識はなく、映像画面にしか存在しない言葉を一度紙…
蒼く澄み切った絶望の海の 底の底を押し下げる 底の底にはじめてある 人知れずの闘争と 人知れずの敗北がある 灰に埋れたきらめきも 柔らかい棘のさざ波も 無数に響き合う沈黙も いつかの甘い退屈も とうとうゆっくりと 昨日の夢のような速度で溶け出して つ…
青々とした新緑の連続の本質は 色彩ではなく匂いであり 湿り気のある生温い風の帰着点は 皮膚に纏わりつく温度である 響き渡る雨の音の優しさは 信じられない速度を咥えることを可能にする もしも もしも盲目であったなら 光ない世界であったなら 世界の深さ…
何もかもに対して無条件でいられた日 それが日常であったような過去が わたしには確かにあって おそらく誰しもがそんな日を 底の底に沈めているだろう もしも今でもそうであれたら 底にある日を引っ張り出せたら 世の中の上澄みを掬い取ることも 溶け出す感…
不安の立方体の中の自由へ 死の匂いのする風にざわめきを覚えて それでも尚ざわめきは見えず (見ることは許されず) 身体はいつもいつまでも 空転の渦に飲み込まれて 今日も、昨日も、明日さえ 逡巡しているばかりのようだ
曇った窓硝子に 恍惚と降り注ぐ爽やかな光は 全ての物事をさらりと無に返して 一日の始まりを告げる 昨日と今日の境目をくぐり抜ける ありふれた奇蹟に遭遇できたならば 今日という日もまた 虹彩をはり替えて 世界の輪郭をイチから決めてゆける
明日の太陽の住所はわからないから 零れてくる夕景の橙を丁寧にビンに流し込む そうっと橙色を舐めてみれば 一日分の記憶の味 ここに太陽の住所を与えよう '4月12日午後4時37分' 次の日の朝 太陽の光で目覚めると 時計は左回り ビンの色は水色で 底に薄っす…
散ればこそいとど桜はめでたけれ 憂き世になにか久かるべき わけもなくつらいよる 好きな曲をいつでも聴ける文明の豊かさに感謝する ぽつんと浮かぶ水色の楕円は 苦悩秘めたる清々しい歌声に やっと救われる命のひとつ 春の 浮つく暗澹たる気持ちは 冬の陰気…
紙や道具を買おうとホームセンターへ自転車を走らせる。ふとペットコーナーを覗いてみれば、ひとつひとつの命がガラス張りの四角いショウケイスに閉じ込められていて不思議な気持ちになる。犬や猫にどれほどの思考能力があるかは検討もつかないけれど、たと…
麗らかな ふいにつく言葉の中で 光の粒があらゆる物という物を 滑り落ちてゆく光景を眺めるとき 揺らぎ続ける目の前の 揺らぎの獲得を目撃して 桜に溶けゆく感情は 大変に清く 完成への幻想はやめにしようと 清々しい妥協を与えてしまうのだった