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FUYUU

2015-01-01から1年間の記事一覧

20151222

この1、2ヶ月の間、絵を描くのも詩を描くのもやめて、俗っぽい感情に身を任せていた。普通の人が考えていることを、考えるようにして、制作をしない生活もできるのだということ、私は作家でもなんでもない、その辺の人なのだということを、自分自身に教えて…

20151027

サイダーがしゅわしゅわと音を立てている彼女の毛先はトゲのように鋭く透き通っている見えないのは顔だけではなくそんざい○も□も 捨てられてしまった それは遠くの私たちがしてしまったのだとむかし聞いたことがあるそれでも彼女は明るい と言い見えない顔を…

20151007

いろんな人間関係をよく想定するありもしない会話を積み重ねて現実が違うことへの安堵とわたし自身は女の子でしかないことへの嫌悪をかくにんして言葉を免罪符にするみんなが噤んだ言葉は消えてなくなったりしない音のない言葉は宙に浮いてじわりじわりと空…

20150917

秋雨が、重さを、鈍さを、なくしていく。気温が下がると、空気の密度は低くなる。空は高さを増し、窓ガラスは色を持たなくなる。しかし、空気の軽さに反比例して、身体はひんやりと重さを増している。−−−重力は、季節によって作用する場所を変えるのだ。季節…

20150911

木々は揺れ 雨はいつのまにか さらさらと涼しげに 秋を知らせる 濃い緑色も 蝉の声も 太陽に向かう高揚感も すっかり遠く はじまりも おわりも 夢のような不透明さです あれはきっと 幻想の色だから うだる暑さ、溶ける景色、そのすべて ただの色であったか…

20150829

まるで何もかもを知ったような顔をしてきみはとても窮屈そうだなあ、と思うのは最低かな、だけど何も知らないからって軽蔑なんてしないから、きみが知っていることだけを教えてよ#今日はいろんなものを捨てた、昔のノートとか、教科書とか、日記とか、いつか…

20150825

時間の流れはどんどん見えなくなり 記憶は堆積して砂のように細かい 通り過ぎる風は時間でなくて季節 おとなになって知ることができるのは 忘却の方法 夏の終わりの空気は冷たい川の流れ 永遠は沈んで 水は青く、濁らない 屈折がどこまでも続いて 日々をさら…

20150503

雨降りの後の青みがかったねずみ色はひたすらに鈍い 花は散って 今年もやっぱり 春の焦燥感には追いつけないまま 木々の青さが鮮明に迫る花が散るように感情もはらはらと散ってしまえばよかったなんて膨張した空気にはそんな願いが挟み込まれる隙間はなく優…

20150408

美しさの所在 たまに忘れるから、振り返らないといけません 私はきっと、いつも、忘れてしまったものを追いかけている 確かにあって、今では不確かになってしまったもの それらすべてについての弁解と恩義 付随する悲しみ ちゃんと取っておいてね、とそれが…

20150326

午前五時風呂場からみる空は爽やかな暗い青をしている誰もいない海の底に沈んだ青い色あのなみ このなみ永遠の反復による取り出せない青いつかのなみ4月のなみも 5月のなみも 例えばだけれど青さを知らずにわたしはそれを愛せるだろうか 打ち寄せるすべての…

20150313

あなたのゆらぎと わたしのきらめき 三角定規で 平行にしてみる三角形で制御された感情のパラレルぼくたちわたしたちまるであの水槽を漂っている魚みたいわたしもあなたも交わらない何ものでもなく漂って名前のないあの水槽の魚みたい

20150224

砂埃が白線をかき消しまたもや曖昧となる午後凍った景色をなでれば 直線は蒼く 壁は白い溶けて伸びた壁からは 甘酸っぱい 春の匂いがして 僕たちは またもや死へ返り咲く 剥がされた看板 磨かれない窓走り方を忘れた自転車 夢のようにはいかないのよ 春の息…

20150119

愛なんてどこにあるのかしら 彼女は愛を食べながらそう呟いた 愛を食べて 夜を食べて 朝はお腹いっぱいで すこし残す それが彼女の日常だった わたしは些かの羨ましさを抑えて 彼女が朝を食べ尽くす日が 永遠に訪れないことを願った 彼女はまた言う 色彩は …

20150110

わたしの部屋が 世界中にあるすべての 白い風船で満たされて 真白な部屋に空白が起きた 午後のひかりと 空白のもとで 弾けないバイヲリンを キイキイと弾いた そとの澄んだ空気を聴くと そこでは爽やかな風の音が 世界に爪を立てていた ずっと昔 記憶から形…