N / N

FUYUU

20150829

まるで何もかもを知ったような顔をしてきみはとても窮屈そうだなあ、と思うのは最低かな、だけど何も知らないからって軽蔑なんてしないから、きみが知っていることだけを教えてよ
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今日はいろんなものを捨てた、昔のノートとか、教科書とか、日記とか、いつかのチケットとか、あの子との思い出のモノとか、もうきっと二度と思い出すことのない記録、全部捨てて、からっぽのふりをしてみる、いつかなかったことになるんだろうか、何もかもが、なかったことになってしまうんだろうか
ノートも本も服も今日まで私の部屋にあったものが、数日もしたら焼却炉に放り込まれてごおごおと燃えているのを想像するとすこしだけ気持ちいい、そんな想像で過去を清算した気になって、随分とお気楽なものだ
いやあ、そもそもが、あってなかったようなものなんだね、私たちは知らないふりを続けるのがひどくうまいから
気づけば見える景色は全然増えない、見えないことばかりが積み重なっている気がする、もう何が見えなくなったのかわからないんだよ、だから私には教えることなんて何もないや、いつからこんなにも重さに縛られているんだろう、重さが正しいと言われたことなんてないのにね
すべてを落としていくように生きていたい、かるく、かるく