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FUYUU

20150224

砂埃が白線をかき消し
またもや曖昧となる午後
凍った景色をなでれば
直線は蒼く
壁は白い
溶けて伸びた壁からは
甘酸っぱい
春の匂いがして
僕たちは
またもや死へ返り咲く
剥がされた看板
磨かれない窓
走り方を忘れた自転車
夢のようにはいかないのよ
春の息を吸ったコートが
ひらひらと告げる
僕らのひと齧りの希望

待てども
待てども
訪れることのない
あの子の季節

終焉の希望を胸に
景色を溶かし続ける

有刺鉄線は
何も聞かずに
佇ずむばかり