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FUYUU

20141231

流れ続ける景色に
焦点を合わせることができない
視線を浮遊させてみる
薄い色の蛍光色がちらと
目の前を横切る
世界の切れ端の色
分断されたあの子の残像も
こんな色だったのかしら
そんな言葉は
言い切らぬうちに
川のうちに消えてしまった
 
たくさんのうねりが
消失を繰り返している
犬が低く吠える
川の向こうに家が連なる
明かりが人を知らせている
 
思い出していた
好きなものに触れるとき
うわあ好き、殺したい
と思うのを悟られないように
敬意を忘れてはならないことを
 
いつのまにか
雨がまた降って
足が冷たく濡れている
 
今年は雨がよく降るので 
何度も安堵のさざめきに溺れた